留置と勾留の違いは? 家族が逮捕された場合の対処法を解説
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家族が突然逮捕されてしまうと、何が起きているのか、これからどうなるのか不安になるものです。とくに警察から「留置所」「勾留」などの言葉を聞いたものの、言葉の意味がわからず悩むケースもあるのではないでしょうか。
留置と勾留は、どちらも逮捕手続きの過程で行われるものです。身体拘束を受ける処置という点は共通していますが、言葉の意味は異なります。
本コラムでは、刑事事件における留置と勾留の違いや手続きの流れ・注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 成田オフィスの弁護士が解説します。
1、刑事事件における留置と勾留の違いとは?
刑事事件における「留置」と「勾留」は混同されやすい言葉ですが、意味は異なります。以下では、それぞれの言葉の意味や違いについて具体的に確認していきましょう。
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(1)留置とは?
留置とは、逮捕された人を一時的に警察施設内に収容することです。事件の被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合や、取り調べの必要がある場合に行われます。
留置される期間は、逮捕から最大で72時間です。この期間中は弁護士との接見のみ許可されており、家族であっても連絡や面会はできません。
留置中は警察や検察による取り調べが行われます。そして72時間以内に、捜査機関が被疑者をさらに拘束する必要があるかどうかを判断し、勾留請求を行うかどうかを決定します。 -
(2)勾留とは?
勾留とは、捜査機関が必要と判断した場合に、裁判所がこれを認めた場合に、被疑者を身柄拘束する手続きです。
勾留期間は最大10日間ですが、やむを得ない理由があると判断された場合は延長されて最大20日間拘束されるケースもあります。
勾留はあくまで起訴される前の手続きであり、「犯罪の有無がまだ確定していない段階」で行われるものです。勾留期間中に起訴されなければ、釈放されることになります。 -
(3)留置と勾留の違いとは?
留置と勾留はどちらも逮捕後に身柄を拘束されることですが、タイミングや接見の制限などが異なります。
留置は、逮捕直後から最大72時間被疑者を身柄拘束することです。警察署内の施設に収容され、接見は弁護人のみと制限されています。
一方で、勾留は裁判所の判断によって被疑者の身柄を最大20日間拘束する手続きです。接見禁止命令が出されていなければ、弁護士以外とも接見できます。 -
(4)留置場や拘置所とは?
留置場とは、警察署内に設置されている被疑者を収容するための施設です。対して拘置所は法務省が管轄する施設であり、起訴されて被告人となった場合に留置場から移送される場所です。
そのため、基本的に逮捕・勾留された場合は、起訴するかどうかが決定するまで警察署の留置場に収容されます。
その後不起訴となれば釈放されますが、起訴された場合は拘置所に移送されます。刑事手続きの進行によって収容場所が変わる可能性があるため、家族が接見する際は注意が必要です。
2、逮捕・勾留後の手続きの流れは?
逮捕された後、刑事手続きはどのように進められるのでしょうか?
以下では、基本的な手続きの流れを解説していきます。
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(1)逮捕・送致
逮捕は、被疑者を一時的に拘束し、取り調べや捜査を進めるための措置です。逮捕されると警察署内の留置場に収容され、警察からの取り調べを受けます。
逮捕後48時間以内に検察官へ送致され、送致から24時間以内に勾留請求の有無が判断されます。
この段階では、弁護士以外の人との面会はできません。逮捕時点で所持していた携帯電話やスマートフォンは没収されるため、家族や職場・学校などへの連絡もできなくなります。 -
(2)勾留請求・勾留延長
検察官が勾留請求を行い、裁判所から認められれば、原則10日間の勾留がはじまります。
勾留開始後は、接見禁止命令が出されていなければ、家族や友人との面会が可能になります。接見禁止命令とは、弁護士以外の者との面会を制限する命令のことで、証拠隠滅や証人への脅迫のおそれがあると裁判所に判断された場合に出されます。
接見禁止命令が出ている場合は、家族であっても被疑者に会うことはできず、弁護士のみとの接見に限定されます。接見禁止命令とは、弁護士以外の者との面会を制限する命令のことで、証拠隠滅や証人への脅迫のおそれがあると裁判所に判断された場合に出されます。
検察官が裁判所に勾留延長を請求し認められた場合は、追加で最長10日間勾留期間が延長されます。勾留が延長された場合、逮捕後から最大で23日間身柄拘束が続くことになります。 -
(3)起訴・不起訴の判断
勾留期間の満了までに、検察官は被疑者を起訴するか不起訴にするかを判断します。
不起訴となればその時点で釈放され、前科がつくことはありません。しかし、起訴されると被疑者は「被告人」となり、刑事裁判を受けることになります。
起訴後も身柄拘束が続く場合、被告人やその親族・弁護人は「保釈請求」を行えます。保釈とは、起訴された被告人の身柄を一時的に解放する制度です。
保釈請求を検討する際は、保釈保証金や身元保証人を準備できるかどうかを確認しておくようにしましょう。 -
(4)被告人勾留のまま刑事裁判
起訴後も勾留が必要と判断された場合、被告人勾留のまま刑事裁判を受けることになります。
起訴後の勾留期間中は、留置場もしくは拘置所で裁判の開始を待ちます。接見禁止命令が出ていなければ、家族や友人との接見も可能です。
刑事裁判で有罪となった場合は刑罰が科され、前科がつきます。無罪を勝ち取ることは困難なため、重い刑罰や前科を避けるためには起訴される前の早い段階での対処が重要となります。
3、逮捕・勾留された際の注意点
家族が逮捕・勾留されたとき、すぐに会いに行こうと思っても、実際には多くの制約があります。以下では、逮捕後の面会制限や弁護士制度の違いについて解説していきます。
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(1)逮捕直後は家族であっても面会できない
逮捕された直後から勾留が決定するまでの最大72時間は、家族を含む第三者との面会は認められません。この期間中は、捜査に支障をきたす可能性を避けるため、外部との接触が制限されています。
仮に警察署に直接出向いたとしても、本人に会うことはできず、原則として差し入れもできません。
近況が知りたい場合やすぐにサポートがしたい場合には、弁護士に接見を依頼することが、最も現実的かつ効果的な方法です。弁護士であれば、逮捕直後であっても被疑者と面会でき、本人の状況や心身の状態を家族に報告することができます。
これにより、家族は被疑者の安否を確認し、その後の対応策を検討することができます -
(2)逮捕直後は1回だけ無料で当番弁護士を呼ぶことができる
逮捕された人には、「当番弁護士制度」を利用する権利があります。当番弁護士制度とは、逮捕後に1回だけ無料で弁護士の接見を受けられる制度です。
当番弁護士は、逮捕された本人のほか、家族や友人でも呼ぶことができます。当番弁護士を呼ぶ際は、勾留されている警察署に要請するか、地域を管轄している弁護士会に連絡して依頼しましょう。
派遣される当番弁護士を選ぶことはできませんが、家族が面会できない逮捕直後にも無料で利用できる点がメリットです。 -
(3)国選弁護人は勾留後でないと選任できない
国選弁護人は、勾留後でなければ選任できません。
国選弁護人とは、刑事事件の被疑者や被告人の代わりに、国が費用を負担して選任する弁護士です。経済的な理由で弁護士に依頼できない場合は、被疑者国選弁護制度もしくは被告人国選弁護制度を利用できます。
ただし、国選弁護人を選任できるタイミングには制限があり、勾留されてからでなければ依頼できません。そのため、逮捕された直後から勾留までの期間は、弁護士がつかない状態で取り調べを受ける必要があります。 -
(4)私選弁護人は逮捕直後であっても選任できる
私選弁護人は国選弁護人とは異なり、逮捕直後であっても選任が可能です。
私選弁護人とは、本人または家族が選び、費用を負担して依頼する弁護士です。私選弁護人がつけば、被疑者本人とすぐに接見し、取り調べへの対応のアドバイスや弁護活動を行えます。
着手金や報酬金などの費用はかかりますが、迅速な対応ができる点が大きなメリットといえるでしょう。
4、家族が逮捕・勾留された場合はすぐに弁護士に依頼すべき
家族が逮捕・勾留された場合は、できるだけ早い段階で弁護士に依頼しましょう。弁護士に依頼するメリットは、以下のとおりです。
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(1)弁護士であれば逮捕直後から本人と接見できる
弁護士であれば、逮捕直後でも本人と直接接見し、今の状況や今後の流れについてアドバイスできます。
逮捕直後は家族の面会が制限されているため、本人の不安を和らげるためにも有効です。
家族が「本人の様子が知りたい」「今どうすべきかアドバイスをしてほしい」と思ったときには、早めに弁護士に相談しましょう。 -
(2)早期釈放を目指して弁護活動を行える
早期釈放を目指した弁護活動を行える点も、弁護士に依頼するメリットのひとつです。
たとえば、勾留を防ぐための意見書および資料の提出や、裁判所への申し立てなどを行えます。これらの弁護活動は早くはじめるほど有利に働くため、逮捕された段階ですぐに相談することが非常に重要です。
早期釈放を実現できれば、職場や学校など生活への影響を最小限に抑えられる可能性があります。 -
(3)取り調べや捜査への対応をアドバイスできる
弁護士は、取り調べや捜査にどのように対応すべきかアドバイスできます。
逮捕直後の取り調べでは、言いたくないことを言ってしまったり、不利な供述をしてしまったりする可能性もあるでしょう。このようなリスクを減らすために、弁護士は取り調べの受け方や黙秘権の使い方、供述の注意点などを具体的にアドバイスできます。
警察や検察の取り調べは、強い心理的プレッシャーがかかり、冷静な判断が難しい状況に陥りやすいです。弁護士が継続的に接見を行うことで精神的な支えとなり、家族も安心感を得られるでしょう。
5、まとめ
家族が突然逮捕されたとき、「留置」「勾留」など聞き慣れない言葉に戸惑い、不安になるのは当然のことです。用語の意味や刑事手続きの流れ、そして家族としての対応を理解しておけば、最善の行動を選びやすくなります。
逮捕直後は家族でも面会できませんが、弁護士であれば即座に接見が可能です。弁護士に早期に依頼することで、勾留阻止や早期釈放に向けた活動、取り調べへのアドバイスなどのサポートが行えます。
家族が逮捕され悩んだときは、まずはベリーベスト法律事務所 成田オフィスの弁護士にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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