ネガティブオプション(送り付け商法)とは? 被害を防ぐポイント

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ネガティブオプション(送り付け商法)とは? 被害を防ぐポイント

身に覚えのない郵便が送られてきて開封してみると、購入していない商品と請求書が入っていた……。このようなケースでも、代金を支払わなければならないのでしょうか。

購入していない商品が一方的に届けられ代金を請求される手口は「ネガティブオプション(送り付け商法)」といい、悪徳商法のひとつです。ネガティブオプションは、原則として返品したり代金を支払ったりする必要はありません。

今回のコラムでは、ネガティブオプションの被害にあってしまった場合の適切な対処について、ベリーベスト法律事務所 奈良オフィスの弁護士が解説します。

1、ネガティブオプションとは? よくある事例は?

ネガティブオプションは、商品を購入していないにもかかわらず、販売業者が一方的に商品を消費者に送りつけて、代金を請求するという販売の手法で、送り付け商法や押しつけ商法とも呼ばれます。

商品を受け取ってしまった、箱を開けてしまった、だから支払わなければならない、という消費者の心理を利用して代金を支払わせようとするもので、その悪質性から特定商取引法という法律の規制対象になっています。

以下、ネガティブオプションのよくある事例をご紹介します。

  1. (1)商品と請求書が送られてくる事例

    ある日突然、注文していない商品と請求書が勝手に送られてくるケースです。たとえば、知らない会社から定形外の郵便物が届いたので開封したところ、中に健康食品のサプリメントと代金の請求書が入っていた、といったトラブルも発生しています。高齢者のほか、若年層にも被害が広がっています。

    ネガティブオプションの商品が送付されたとしても、一方的に送り付けてきた商品に代金を支払う義務はありません。

    ただし、代引(だいびき)で商品が届き、「もしかして家族が注文したかもしれない」などと勘違いして代金を支払ってしまうと、返金交渉が困難になるので注意が必要です。代引とは代金引換の略称で、宅配業者が商品を配達した際に、受取人が商品の代金を宅配業者に支払う仕組みです。

    代引によるネガティブオプションは、郵便物として商品が送られて来る場合よりも時間的な余裕がありません。特に海産物などが送り付けられると、傷みやすいからと商品の代金を支払ってしまいやすいという傾向があります。代金を支払ってしまうと、一般に売買契約に同意したものと見なされるので、支払ってしまった代金を取り戻すのは困難になります。

    業者も代引であれば代金を支払いやすいことを把握しているので、ネガティブオプションの中でも悪質な手法と言えます。

  2. (2)返品しないと購入を承諾したものとする事例

    商品を送り付ける際に書類を同封し、「商品が不要な場合は7日以内に返品してください。期間内に返品しない場合は、商品の購入を承諾したものとみなします」などと一方的に宣言する手法です。

    しかし、勝手に送られてきた商品を返品しなければならない義務はありません。
    また、期間内に返品がないからといって、相手が申込みに承諾したものと勝手にみなすこともできません。


    商品を勝手に送りつけるネガティブオプションの手法は、法的には売買契約の「申込み」に該当します。契約が成立するには申込みだけでなく、それに対応する相手の「承諾」が必要なので、商品を送りつけただけでは売買契約は成立しないのです。

2、ネガティブオプションを規制する特定商取引法

  1. (1)特定商取引法とは

    ネガティブオプションを規制する法律として、特定商取引法があります。特定商取引法の正式名称は「特定商取引に関する法律」で、取引の公正と消費者被害の防止を目的とする法律です。

    特定商取引法は訪問販売、通信販売、電話勧誘販売など、消費者と事業者がトラブルになりやすい取引を類型化して規制の対象にしています。ネガティブオプションに関する規制は、特定商取引法の59条に規定されています。

  2. (2)特定商取引法による規制と注意点

    特定商取引法の規定において、送られてきた商品がネガティブオプションに該当する場合、商品を自由に処分することができます。商品を廃棄しても、代金の支払いは必要ありません。

3、ネガティブオプションへの対応と注意点

  1. (1)特定商取引法第59条

    これまで、特定商取引法第59条では、商品の送付があった日から未使用であり、販売業者による引き取りがないまま14日間が経過などすれば、販売業者は商品を請求することができないと定めていました。

    しかし、それでは被害を受けた側の負担が大きいとして、令和3年7月6日に施行された改正法では、14日間という期間が撤廃され、金銭を得る目的で一方的に送り付けられた商品は、基本的には直ちに処分することができるようになりました。たとえば、開封したり、使用したりしたとしても、消費者には支払い義務は生じません。

    ただし、改正法が施行される以前(~令和3年7月5日)に届いたものについては、従前どおりの法律が適用されるため、注意が必要です。

    なお、個人事業主や会社の事業所に対して、事業に関連した商品が送り付けられた場合には、特定商取引法は適用されません。そのため会社や個人事業主が業務に関連したネガティブオプションの被害にあったときには、業者へ承諾しない旨を通知したのち、商品を保管するないし商品を受取人払いで返送するなどの対応が必要になります。

  2. (3)受取拒否の手続きをする

    最後に、受取拒否の手続きをする方法をご紹介します。

    商品が郵便で送られてきた場合、注文した覚えがなければ配達員に「受取拒否です、返送してください」と伝えましょう。商品を配送元へ返送してもらえます。

    もし一度受け取ってしまった場合は、メモや付箋に「受取拒否」と記載し、受け取りを拒否する本人の押印または署名を記します。次に、そのメモや付箋を送られてきた郵便物に貼り付けてから、郵便窓口に持参する、ポストに投函するなどすれば、受取拒否の手続きは完了です。

    ただし、郵便物を開封してしまった場合や、書留で受領印を押してしまった場合、代金引換で料金を支払ってしまった後は、受取拒否はできません。郵便物を受け取る際には、荷物の発送元を確認することを習慣化するとよいでしょう。

4、ネガティブオプションの相談先

ネガティブオプションの被害の相談先として、国民生活センターによる消費者ホットラインや、各都道府県警察による被害相談窓口などがあります。電話で被害の状況に応じてアドバイスを受けることができます。

なお、悪質な業者の場合、執ように請求を続けたり、嫌がらせのような手段を取ってきたりする可能性もあります。ネガティブオプションの被害がエスカレートした場合、消費者問題の実績が豊富な弁護士に相談することがおすすめです。

弁護士であれば、本人の代理人としてネガティブオプションの業者と交渉できます。法的根拠に基づいた交渉により、交渉がスムーズに進むことが期待できます。

また、悪質な業者による脅迫や強要まがいの行為がある場合は、早めに弁護士に相談しましょう。必要に応じて法的措置をとりながら、早期解決へ向けて対応してくれるでしょう。

5、まとめ

購入していない商品が一方的に送り付けられるネガティブオプションは、法的には売買契約が成立していないため、料金を支払う義務はありません。ただし、代引で支払いをしてしまうと返金交渉が難航する可能性が高いため注意が必要です。

ネガティブオプションは消費者をターゲットにした悪質商法です。執拗な請求や被害でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 奈良オフィスにご相談ください。消費者問題の解決実績が豊富な弁護士が、トラブル解決に向けて尽力いたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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