成年後見人になれるのは誰が多い? 役割や弁護士に相談するメリット
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成年後見制度は、判断能力が十分ではない方の生活面や財産管理に関する法律上の意思決定を助けるために、健全な判断能力がある人をサポート役に付ける制度です。
この制度を利用する際の悩ましい問題のひとつが、「誰が成年後見人になるのか」という点です。制度自体の複雑さに加え、相続が絡んで親族間の意見の対立も起こりうるため、専門家に依頼するのか、親族でも務まるのか、話し合いが進まないケースも少なくありません。
この記事では、誰が成年後見人になることが多いのかという点を中心に、成年後見制度の基本的な内容について、ベリーベスト法律事務所 木更津オフィスの弁護士が解説します。
1、成年後見人とは|なれる人となれない人の条件
まずは、成年後見制度の概要と成年後見人になれる人、なれない人の条件について解説します。
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(1)成年後見制度の基本的な仕組み
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が十分でない成人の方を法律的に保護するために、本人に代わって財産管理などを行う後見人等を選任する制度です。利用する場合は、家庭裁判所への審判の申し立てが必要です。
現行の成年後見制度には、判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つの類型が設けられています。このうち「後見」は、判断能力が全くない状態にあると判断された場合に適用され、成年後見人が選任されます。
なお、政府は、成年後見制度の抜本的な改正案を令和8年4月に閣議決定しており、今後法改正される見込みですが、現行の成年後見制度を前提に解説します。
成年後見人の選任は、家庭裁判所による成年後見開始の審判の際に行われ、人選も家庭裁判所が行います。この人選について不服を申し立てることはできません。
なお、本人が判断能力のあるうちに、あらかじめ自分で任意後見人を選んでおく方法(任意後見制度)もあります。
家庭裁判所への成年後見開始の申し立ては、本人、配偶者や四親等以内の親族のほか、公益的な観点から検察官や市区町村長も行うことができ、本人が亡くなるか能力が回復するまで後見は継続します。 -
(2)成年後見人になれる人の条件
成年後見人になるために特別な資格は必要ありません。
本人の配偶者や親族はもちろん、弁護士や司法書士など法律の専門家、社会福祉士など福祉の専門家が後見人になるケースもあります。
家庭裁判所に成年後見開始の申し立てをする際、後見人候補者を立てるのが一般的ですが、家庭裁判所がその適格性を審査した結果、候補者が選任されないこともあります。
家庭裁判所が成年後見人を選ぶ際に考慮されるポイントは次章で解説します。 -
(3)成年後見人になれない欠格事由
民法847条では、成年後見人になれない「欠格事由」が以下のとおり定められています。
- 未成年者
- 家庭裁判所から解任されたことがある法定代理人(成年後見人等)や保佐人、補助人
- 破産者
- 本人に対して訴訟をしたことがある人やその配偶者、直系血族
- 行方不明者
欠格事由の規定は、後見事務を適切に行えない可能性がある人や、本人と利害が対立する関係にある人を除外するためのものです。
なお、破産者(破産手続きを受けた方)でも、免責許可決定が確定すれば、成年後見人になることができるようになります。
2、成年後見人に選ばれるのは誰が多い?判断基準を解説
成年後見人には、弁護士などの専門職か親族が選任されるケースがほとんどです。
令和7年の最高裁判所の統計によると、全体の約83%が成年後見人等として「親族以外」が選任されており、親族よりも弁護士などの専門家が選任されることが多いことが分かります。
また、成年後見人等に親族が選任された割合は約16%で、そのうち約半数は「本人の子ども」が選任されています。
ここでは、専門職と親族のどちらを選任するかの判断基準や、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
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(1)成年後見人の選任基準|専門職と親族のどちらが選ばれる?
成年後見人の選任にあたっては、本人の財産や生活の状況、親族との関係など、あらゆる事情を踏まえて、個別のケースごとに家庭裁判所の判断が行われます。
一般的な傾向として、成年後見人の人選では以下のような事情が考慮されます。① 専門職が成年後見人に選任されやすいケース
- 資産が多く、適正な管理がより求められる場合
- 不動産の売却や本人が相続人となる遺産分割など、財産の大きな変動が見込まれる場合
- 親族間で財産管理や介護の方針に意見の相違がある場合
- 近隣に居住している親族がいない、親族が本人から借金をしているなど、適切に後見事務を行うことができる親族がいない場合
② 親族が成年後見人に選任されやすいケース
- 主な資産が預貯金などで、財産管理が比較的容易な場合
- 介護などに関わっている親族がおり、本人や他の親族との関係も良好な場合
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(2)専門職が成年後見人になるメリットとデメリット
・専門職後見人のメリット
専門職後見人のメリットとしては、法律や福祉の専門知識を生かした適切な判断ができる点が挙げられます。
また、第三者である専門職が関与することで、親族間の対立がある場合でも、公平な判断が可能で、財産管理の透明性が確保されやすいという利点もあります。
・専門職後見人のデメリット
専門職後見人のデメリットは、月額数万円程度の費用が発生することです。
これは本人の財産から支払われるため、長期的な経済的負担となる可能性があります。
また、本人をよく知らない第三者が後見人となるため、本人の意向や生活習慣に沿った細やかな対応が難しい場合もあります。
専門職の方との丁寧なコミュニケーションや、家族でできることと専門職に依頼することの役割分担を明確にするなど、連携の取り方を工夫することが重要です。 -
(3)親族が成年後見人になるメリットとデメリット
・親族後見人のメリット
親族後見人のメリットは、本人の生活歴や価値観をよく理解していることから、本人の意思を尊重した後見活動ができる点です。
また、親族が成年後見人になると、裁判所に報酬付与の申し立てを行わない限りは、報酬が発生しないため、経済的な負担を抑えることができます。
・親族後見人のデメリット
親族後見人には、以下のようなデメリットがあります。- 後見事務に関する知識不足の可能性や本人の財産の使い込みが疑われるおそれがある
- 他の親族との意見対立が生じるリスクがある
- 財産管理の適正さを確保するための追加的な措置が必要となる場合がある
追加的な措置としては、家庭裁判所の判断により、「成年後見監督人」の選任や、「後見制度支援信託」の利用が条件として加えられることがあります。
「成年後見監督人」とは、成年後見人の活動を第三者の立場でチェックするために弁護士などの専門職から選任される役職です。
親族が成年後見人に選任される場合には監督人選任の必要性も検討されるのが一般的です。後見監督人が選任されると、報酬の負担が生じるほか、後見監督人への定期的な報告義務が発生することになります。
「後見制度支援信託」とは、当面使用する見込みのない本人の財産を信託銀行等に信託する仕組みです。信託設定までは専門職後見人が担当し、その後の後見事務を親族が引き継ぐという方法もよく用いられています。信託した財産の払い戻しには家庭裁判所の許可が必要です。
3、成年後見人の役割
成年後見人が後見事務を行う際には、本人の意思を尊重し、その心身の状態や生活の状況に配慮することが求められています。
以下では、成年後見人の具体的な役割や権限について解説します。
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(1)財産に関する法律行為の包括的な代理権
成年後見人は、本人の財産に関する法律行為について、包括的な代理権を持ちます。
契約の締結や解除、不動産の売買、預貯金の管理など、財産に関する幅広い法律行為を本人に代わって行うことができます。
また、本人が不利益な契約を結んでしまった場合、成年後見人はその契約を取り消すことができます(ただし、日用品の購入など日常生活に関する行為を除く)。 -
(2)身上監護
身上監護とは、本人の生活・医療・介護に関する契約や手続きを行う業務です。
具体的には以下のような業務になります。- 介護保険サービスの利用契約
- 施設入所の契約
- 医療機関への入退院手続き
- 福祉サービスの利用契約
- 住居の確保や修繕に関する契約
ただし、医療行為への同意や、婚姻や離婚、養子縁組、遺言など、本人の意思で行う必要がある行為は、成年後見人が代理することができません。
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(3)財産管理
本人の財産の内容を把握して適切に管理するとともに、年金などの収入や生活費、税金、保険料などの支出を管理します。主に以下のような財産の管理に携わります。
- 預貯金や有価証券などの管理
- 年金など定期的な収入の管理
- 生活費や医療費などの支払い
- 税金や社会保険料の納付
- 不動産の維持・管理
- 重要財産の処分(家庭裁判所の許可が必要)
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(4)家庭裁判所・後見監督人への報告
成年後見人は、後見事務の状況を定期的に報告する義務があります。
これは、家庭裁判所や後見監督人が後見事務の適正な執行を監督するためです。
家庭裁判所への報告では、原則として毎年1回、後見事務報告書など所定の書類を提出することが求められます。ただし、家庭裁判所の判断により、報告の頻度が変更される場合があります。
この報告書には、本人の現在の状況、財産の収支状況、後見事務の内容などを記載し、預貯金通帳の写しや領収書なども添付して、財産管理が適切に行われていることを明らかにしなければなりません。
後見監督人が選任されている場合は、家庭裁判所への定期報告に加え、後見監督人の求めに応じた報告が必要です。
4、成年後見人を弁護士に依頼する5つのメリット
弁護士が成年後見人に選任されることには、さまざまなメリットがありますが、特に重要な5つのメリットについて解説します。
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(1)法律知識を生かした適正な後見事務が可能
弁護士は法律の専門家として、成年後見制度に関する専門知識と実務経験を有しています。
預貯金の管理や不動産売却、各種契約の締結など、法律知識が必要となる場面で、的確な判断が可能となります。
また、家庭裁判所への定期報告も専門的な観点から適切に行うことができるため、特に大規模な財産管理や不動産取引が想定される場合に効果的です。 -
(2)第三者の立場で透明性の高い財産管理ができる
弁護士は親族ではない第三者的な立場で後見事務を行うため、親族間の利害関係から独立した立場で、客観的な財産管理を行います。
また、本人のための支出と家族のための支出を明確に区分けして、透明性の高い財産管理を行うことも期待できます。 -
(3)介護やご自身の生活設計に専念できる
財産管理、各種手続き、裁判所への報告など、多岐にわたる業務を弁護士に代行してもらうことで、これらの負担から解放されるのも大きなメリットです。
ご家族は、本人とのコミュニケーションや介護に、より多くの時間を割くことができるようになります。 -
(4)親が遠方在住でも後見事務を任せられる
弁護士は本人の居住地の近くで活動する専門家として、遠方在住のご家族に代わって現地での対応が可能です。施設との連絡調整や行政手続き、急な対応が必要な事態が生じた場合でも、迅速な対処ができます。
また、定期的に本人の状況をご家族に報告することで、遠方在住のご家族も本人の生活状況を把握しやすい環境を整えられます。 -
(5)相続手続きにも円滑に対応できる
弁護士が後見人を務めている場合、本人の財産状況を把握していることから、相続が発生した際の手続きをスムーズに進められることもメリットです。また、遺産分割などの相続に関する親族間の調整についても、法律専門家として客観的な立場から助言することが可能です。
お問い合わせください。
5、まとめ
成年後見人の選任は家庭裁判所が行い、弁護士などの専門職が選ばれるケースと親族が選ばれるケースのいずれかがほとんどです。
弁護士が後見人を務める場合は法律知識を生かした適切な判断や、第三者の立場からの客観的な財産管理が可能です。家庭裁判所への報告など、専門的な実務にも精通しています。
一方、親族後見人の場合は、本人の意向や生活習慣を理解した後見活動ができる利点がありますが、財産管理の透明性が問題になることが少なくありません。
また、後見監督人の選任や後見制度支援信託の利用が条件になるケースも増えており、実務的な負担が大きくなる傾向にあります。
後見人の選定には本人の財産状況や親族関係など、さまざまな要素を考慮する必要があります。特に財産管理が複雑なケースや、親族間での意見調整が必要なケースでは、法律の専門家である弁護士への相談を検討することをおすすめします。
成年後見制度の利用を検討されている場合は、ベリーベスト法律事務所 木更津オフィスまでお気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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