老老相続とは? トラブルになり得る遺産相続の注意点と対処法
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大阪府が公表している統計データによると、令和6年に大阪市で亡くなった方は3万3945名、阿倍野区で亡くなった方は1236名でした。
高齢の家族が亡くなった場合に、遺産を相続する人(=相続人)も高齢であるケースは「老老相続(ろうろうそうぞく)」と呼ばれることがあります。
老老相続は、若い人が相続人になるケースに比べると、トラブルのリスクが高いと考えられます。本記事では老老相続について、概要・注意点・トラブルの予防策などをベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスの弁護士が解説します。
1、老老相続とは?
「老老相続(ろうろうそうぞく)」とは、高齢の家族が亡くなった場合に、遺産を相続する人(=法定相続人)も高齢であるケースの通称です。
相続人がおおむね65歳以上であれば、老老相続と言ってよいでしょう。特に近年では、高齢化の進行に伴い、老老相続の件数が急増しています。
老老相続は、若い人が相続人であるケースに比べると、トラブルに発展するリスクが高いと考えられます。次の項目で解説する注意点を踏まえつつ、将来の老老相続に向けた対策を講じましょう。
2、トラブルになり得る老老相続の注意点
老老相続には主に以下のような3つのリスクがあります。詳しく解説します。
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(1)相続人の認知能力が低下するリスク
高齢になるに連れて、認知症などによって認知能力が低下するリスクが高まります。
遺産分割協議を行う段階において、相続人の認知能力が低下している場合は、そのままでは遺産分割ができません。成年後見人を選任し、認知能力が低下した相続人の代わりに遺産分割協議へ参加させる必要があります。
また、遺産を相続した人の認知能力が低下していると、相続した遺産を有効に活用することも難しいでしょう。
このように老老相続では、相続人の認知能力が低下することにより、遺産分割の手続きが複雑になったり、効果的な遺産の活用が難しくなったりするリスクがある点に注意が必要です。 -
(2)数次相続が発生するリスク
高齢の相続人は、遺産分割協議を行っている最中に亡くなってしまうケースもあります。これは「数次相続」と呼ばれる、複数の相続が同時に発生している状況です。
数次相続が生じると、当事者である相続人が増えるため、遺産分割協議がまとまりにくくなります。その分トラブルのリスクも高くなるので、何らかの対策を事前に講じておくことが望ましいです。 -
(3)お金が必要な若い世代に、財産が行き渡らないリスク
老老相続の場合、高齢の相続人が遺産を相続しても、その遺産を使わずに貯蓄へ回すケースがよくあります。子どもは独立していて教育費がかからず、自分の生活費や遊興費もそれほど必要ないことが多いためです。
生活費や教育費などのお金を必要としているのは、高齢者よりも若い世代です。しかし、事前対策を何も行わずに老老相続を迎えると、高齢の相続人が多額の遺産を取得する一方で、若い世代に十分な遺産が行き渡りません。
子どもや孫などの若い世代に財産を活用してもらうためには、老老相続を見据えた適切な対策を講じましょう。
3、老老相続をトラブルなく進めるための対策
トラブルが発生しがちな老老相続を、できる限りトラブルなくスムーズに進めるための対策を紹介します。
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(1)公正証書遺言を作成する
老老相続によるトラブルのリスクを防ぐには、遺言書によってあらかじめ遺産の分け方を決めておくことが効果的です。
遺言書は、民法で定められた方式によって作成する必要があります。通常は「自筆証書遺言」(民法968条)、「公正証書遺言」(民法969条)、「秘密証書遺言」(民法970条)のいずれかの方式によりますが、その中でも公正証書遺言を作成するのがよいでしょう。
公正証書遺言(民法969条)は、公証人が作成する遺言書です。遺言者と証人2名以上の立ち会いの下で、公証人が遺言書を作成します。
公証人は法律の専門家であるため、公正証書遺言が形式不備等によって無効となるリスクはまずありません。また、公正証書遺言の原本は公証役場で保管されるため、紛失や改ざんなどを防げます。
公正証書遺言によって、高齢の配偶者に十分生活できるだけの財産を与えつつ、若い世代にも効果的に活用してもらえる財産を与えれば、バランスのよい相続が実現できるでしょう。
また、付言事項によって家族に対して最後のメッセージを伝えることもできます。
公正証書遺言の作成に当たっては、公証人との事前調整が必要になります。弁護士に依頼すれば、具体的な案文の作成から公証人とのやり取りまで、一括してサポートを受けられるので安心です。 -
(2)生前贈与を行う
生前贈与も、老老相続のリスクを軽減するために有力な方法です。
生前贈与を行うと、早い段階で受贈者(=受け取る人)に財産を活用してもらえます。
特に子どもや孫など、若い世代に対して生前贈与を行えば、教育費や生活費などとして効果的に財産を活用してもらえるでしょう。
また、生前贈与を行えば、相続発生時に分割の対象となる遺産が減り、遺産の奪い合いを防ぐことにもつながります。
さらに、贈与税の基礎控除(年110万円)を活用して、毎年少しずつ生前贈与を続ければ、相続税の負担を軽減できる可能性があります。
弁護士や税理士のアドバイスを受けながら、効果的な生前贈与の方法を検討しましょう。 -
(3)民事信託(家族信託)を利用する
相続対策の方法として、近年「民事信託(家族信託)」が活用されています。民事信託は、信頼できる家族(=受託者)に財産の管理を任せる仕組みです。
民事信託には、「委託者」「受託者」「受益者」という3種類の当事者が存在します。- 委託者:信託財産を拠出する人
- 受託者:信託財産を管理する人
- 受益者:信託財産から利益を得る人
委託者は、受託者に対して形式的に財産の所有権を移転します。受託者は受益者のために、信託契約のルールに従って財産を管理します。たとえば、将来的に被相続人となる人が委託者、信頼できる家族が受託者となり、現金を信託譲渡するケースを考えます。
受益者は、委託者自身とすることもできますし、子どもや孫などの第三者とすることもできます。
受託者は、委託者から預かった現金を、指定された受益者のために管理・運用します。たとえば以下に挙げるように、信託契約によって現金の使い道や運用方法を指定することも可能です。(例)
- 孫の教育費が必要となった際に、信託財産から費用を拠出する。
- 配偶者の介護が必要となった際に、信託財産から毎月○万円を拠出する。
- 信託財産は、定期預金によって運用する。
民事信託は、生前贈与と同じような形で活用できるほか、委託者の判断能力が低下した際の認知症対策としても役立ちます。
さらに、委託者が亡くなった後も、受託者に財産の管理を続けてもらうことも可能です。遺言書の場合は財産を譲り渡して終わりですが、民事信託であればその後の使い道まで指定できます。
このように、民事信託は幅広く柔軟に活用することができます。その反面、信託契約をきちんと作り込む必要がありますので、弁護士にご相談ください。 -
(4)被相続人が認知症の場合は、成年後見人を選任する
被相続人が認知症にかかっている場合は、悪徳業者などに付け込まれたり、不要な契約を締結したりして、財産を失ってしまうリスクがあります。
実際に相続が発生して、遺産分割をするために遺産を調査した結果、ほとんど残っていなかったというケースが少なくありません。
このようなリスクを避けるためには、速やかに家庭裁判所に対して後見開始の申し立てを行いましょう。家庭裁判所は、本人が判断能力を欠く状況にあることを認定した場合、後見開始の審判を行って成年後見人を選任します。
成年後見人は、本人を代理して契約などの法律行為をすることができるほか、日常生活に関するものを除き、本人の法律行為を取り消すことが認められています。成年後見人のサポートにより、将来の相続に備えて本人の財産を守ることができます。
後見開始の申し立てについても、弁護士のサポートが役立ちます。ぜひお早めにご相談ください。
参考:「後見開始」(裁判所)
お問い合わせください。
4、老老相続について弁護士に相談するメリット
将来の老老相続に向けた対策や、実際に老老相続が発生した場合の対応については、弁護士に相談することをおすすめします。
老老相続について弁護士に相談することの主なメリットは、以下のとおりです。
- 老老相続に伴うリスクや、具体的な予防策についてアドバイスを受けられる
- 公正証書遺言や信託契約書の作成など、専門的な手続きへの対応を一任できる
- 弁護士を遺言執行者に指定すれば、遺言書の内容が確実に実現される
- 相続財産や相続人を漏れなく調査してもらえる
- 専門的な知識と経験をいかし、必要な相続手続きを適切に進めてもらえる
弁護士のサポートにより、老老相続のリスクを最小限に抑えることができます。将来の老老相続が心配な方は、お早めに弁護士へご相談ください。
お問い合わせください。
5、まとめ
老老相続には相続トラブルのリスクがありますが、きちんと事前対策を行えばリスクを軽減できます。弁護士のアドバイスを受けながら、適切な方法によって相続対策を行いましょう。
ベリーベスト法律事務所は、遺産相続に関するご相談を随時受け付けております。老老相続に備えた対策を行いたい方は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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