専業主婦が離婚したいと思ったときにまずすべきこと|準備・お金・子ども

更新:   公開:
  • 離婚
  • 専業主婦
  • 離婚したい
専業主婦が離婚したいと思ったときにまずすべきこと|準備・お金・子ども

「京都府人口動態統計」によると、令和6年の京都府内における離婚件数は3644件で、前年と比べて83組増加しました。

専業主婦の場合、離婚をしたいと考えてもなかなか踏み切れないという方は少なくありません。しかし、専業主婦の方でも離婚でもらえるお金や事前にできる離婚準備があります。

本コラムでは、専業主婦が離婚したいと思ったときにまずすべきことについてベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士が解説していきます。


離婚・男女問題を京都の弁護士に相談離婚・男女問題を京都の弁護士に相談

1、専業主婦で「離婚したい」と考えても踏み出せない理由

専業主婦が離婚に踏み出せないのはなぜなのでしょうか?専業主婦の方が離婚をしたくてもなかなか離婚ができないのは、主に以下のような理由があるからです。

  • 相手が同意しない
  • 話し合いに応じてくれない
  • 経済的に依存している
  • 子どもの存在
  • 世間体や周囲の目が気になる
など


相手が同意しない、話し合いに応じてくれないといった場合には弁護士に依頼することで解決するケースもありますが、専業主婦の場合は離婚後の経済不安や子どもの存在から「我慢した方がよいかもしれない」と離婚を踏みとどまるケースも決して少なくないでしょう。

世間体や周囲の目(家族や近所の方など)を気にされる方も意外と多く、これらの理由から専業主婦が離婚を踏み出せないというケースも多いのです。

しかし現在経済的に依存していても、離婚時にもらえるお金についての知識を得て事前準備をしておくことで経済的不安を和らげることができます(次章で詳しく解説)。

また、離婚を考えるような現状は本当に子どものためになっているのかを今一度よく考えて、離婚について一歩を踏み出すことも大切です。

2、専業主婦は離婚で不利なのか? もらえるお金と準備できること

専業主婦は離婚で不利なのか?というと決してそうではありません。専業主婦にも離婚によってもらえるお金があり、事前準備を行っておくことで不利にならずに離婚を進めることができます。

離婚でもらえるお金と事前準備について詳しくみていきましょう。

  1. (1)離婚でもらえるお金

    離婚でもらえるお金には大きく分けて2種類のお金があります。相手方から支払われる「離婚給付」と、国や自治体から提供される「母子家庭等に対する公的助成・支援」です。

    ① 離婚給付
    離婚の際には以下のお金を請求することができます。

    • 婚姻費用分担請求権
    • 財産分与
    • 養育費
    • 慰謝料(配偶者に不倫や家庭内暴力といった有責行為がある場合)


    「婚姻費用分担請求権」とは、離婚前に(主に)別居をする場合に離婚が成立するまでの間配偶者に生活費を請求できる権利です。婚姻費用については家庭裁判所の公表している「婚姻費用算定表」を活用することで、ケースに応じた金額相場を簡易迅速に計算することができます。

    「財産分与」とは夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産を離婚時に原則として2分の1ずつに分けることを指します。財産分与請求権は法律でも認められた権利で、専業主婦も配偶者に請求することが可能です。

    財産分与の対象になるのは「婚姻期間中に築いた財産」であり、これを「共有財産」といいます。結婚してから購入した家や車、家具家電、配偶者や夫婦の預貯金等が対象となります。一方、婚姻前に築いた財産や親族からの相続・贈与で得た財産は財産分与の対象にはなりません。これを「特有財産」といいます。

    「養育費」は未成熟子(社会的・経済的に自立していない子ども)のための費用(生活費や教育費、医療費など)です。親権(のうちの監護権)を持つ側の親に、親権(のうちの監護権)を持たない側の親が支払います。金額については家庭裁判所の「養育費算定表」でケースに応じた金額を算出し、それを参考に話し合っていくのが一般的です。

    「慰謝料」は不法行為による精神的苦痛に対する損害賠償として請求できるお金で、離婚における不法行為の一例は不倫や家庭内暴力などです。不倫や家庭内暴力の有効な証拠があれば慰謝料を請求することができるでしょう。

    たとえば、不倫の場合は肉体関係があることがわかる写真や動画、探偵事務所や興信所の調査報告書などが有効な証拠になります。証拠がなければ言い逃れされてしまい慰謝料を支払ってもらえなくなってしまうおそれがあるため、必ず証拠を確保しておきましょう。

    ② 母子家庭等に対する公的支援と助成制度
    離婚をすることで母子家庭等に対する公的支援を受けることができる場合があります。

    受けられうる具体的な公的支援の一例は以下のとおりです。

    • 児童扶養手当
    • 児童手当
    • 特別児童扶養手当
    • 就学援助
    • 母子父子寡婦福祉資金
    • ひとり親家庭の医療費助成
    • 生活保護
    • 住居確保給付金
    など


    「児童扶養手当」は、離婚やDV保護命令、1年以上の遺棄などの理由で、父または母と生計を同じくしていない18歳未満(特別扶養手当の対象となる程度の障害がある場合は20歳未満)の児童を育てる親に支給されます。

    「児童手当」は、ひとり親に限らず支給されるものですが、児童扶養手当と併せて受給可能です。

    「特別児童扶養手当」は、子どもに精神または身体の障害がある場合に、上記の手当に追加して支給を受けることができるものです

    さらに、ひとり親家庭の子どもの健全育成に向けた「経済的支援策」や「修学資金」の貸付が、自立促進計画に基づき総合的に実施されています。

    「母子父子寡婦福祉資金貸付金」は、20歳未満の子を扶養するひとり親を対象とした融資制度です。子どもの高校・大学等の学費(授業料、書籍代等)に充てる「修学資金」や、親自身の「技能習得資金」「就職支度資金」「事業開始資金」、さらには「住宅資金」など、用途に応じた多様な貸付があります。保証人を立てれば無利子、いない場合でも低利で利用可能です。

    「ひとり親家庭等医療費助成制度」は、ひとり親家庭の親と子が病院等で診察を受けた際、保険診療による医療費の一部を自治体が助成する制度です。

    離婚後の収入や資産が一定基準を下回る場合、最低限度の生活を保障するために「生活保護」の受給も検討できます。ひとり親家庭には「母子加算」が適用される場合があります。

    「住居確保給付金」は、家賃相当額を自治体から家主へ直接支払う仕組みで、原則3か月(最大9か月まで延長可)支給されます。離婚に伴う離職や収入減少で家賃の支払いが困難になった場合に利用できる可能性があります。

    また、自治体ごとに利用できる助成金や制度もあるため、離婚後に住む自治体にどのような制度・助成金が利用できるのか事前に確認しておくことをおすすめします。

  2. (2)事前に準備できること

    離婚したいと配偶者に伝える前に以下の準備を行いましょう。

    • ① 離婚に必要なお金を確認する
    • ② 離婚後の生活費や就職先を考え動く
    • ③ 別居中や離婚の際に夫から支払ってもらえる金額を確認する


    ① 離婚に必要なお金を確認する
    離婚をする場合にかかるお金についても事前に確認して用意しておく必要があります。

    用意しておきたい具体的なお金は以下の内容です。

    • 引っ越し費用
    • (引っ越し先が賃貸物件である場合)賃貸物件の初期費用
    • 弁護士費用


    現在暮らしている家に住み続ける場合には不要ですが、離婚に関連して引っ越す場合「引っ越し費用」と「賃貸物件の初期費用」を用意しておいた方がよいでしょう。

    また、離婚の話し合いで揉める可能性が高いケースや離婚を切り出すと相手に逆上されて何をされるかわからないような個人での対応が難しいケースなど、弁護士に依頼すべきケースもあります。

    後述しますが、話し合いが決裂すると離婚調停や離婚裁判を行う必要があり、個人でこれらの裁判手続き・対応を全て行うには非常に精神的にも負担がかかるため、弁護士依頼を想定して事前にまとまった費用を用意しておいた方がよいでしょう

    ② 離婚後の生活費や就職先を考え動く
    離婚時に財産分与や慰謝料を受け取ることはできますが、離婚後の生活を考えると就職を見据えた方がよいです

    離婚後の生活費がどれくらい必要なのか、そのために必要な収入はいくらなのかを試算した上で就職活動を行いましょう。

    就職先の見つけ方としては、ハローワークでの相談、転職求人サイトの活用、求人誌の確認、知人友人からの紹介などが主な方法として挙げられます。

    ③ 別居中や離婚の際に夫から支払ってもらえる金額を確認
    前述のとおり、別居中は婚姻費用を、離婚の際は財産分与や養育費、場合によっては慰謝料を支払ってもらうことが可能です

    婚姻費用と養育費については家庭裁判所の算定表を参考に簡単に目安の金額を算出できます。財産分与については対象になる財産を事前に把握しておかないと取り損ねてしまうおそれもあるため、共有財産となる財産の範囲や金額をしっかりと確認しておきましょう。

    慰謝料はケースにより金額も異なりますが、たとえば不倫の場合は200〜300万円を獲得できることもあります。自分のケースで請求できる金額がわからず不安な方は、弁護士に一度相談することをおすすめします

3、離婚の進め方・切り出し方

離婚を決意しても直ちに配偶者に「離婚したい」と伝えてはいけません。準備なしに離婚を進めようとすると離婚条件で不利になる可能性が高まります。

不利にならないためにも離婚の進め方と切り出し方のポイントについて詳しくみていきましょう。

  1. (1)離婚の進め方

    離婚は以下の手順で進めていきます。

    • ① 事前準備
    • ② 離婚協議
    • ③ 離婚調停
    • ④ 離婚裁判


    ① 事前準備
    2章で解説したように、事前に準備できることがあります。「離婚に必要なお金を確認する」「離婚後の生活費や就職先を考え動く」「別居中や離婚の際に夫から支払ってもらえる金額を確認する」という準備に加えて、「客観的状況の整理とメモの作成」と「離婚条件をまとめる」ことも重要です。

    まずは、離婚を決意するまでの経緯や具体的なエピソードを時系列で整理したメモを作成しましょう。子どもの年齢や転勤、入院などの身近な出来事と関連付けて時期を特定することで、弁護士等の専門家への説明も円滑になります。

    さらに、離婚時に決めなければならない離婚条件について、自分の主張をまとめておきましょう。

    決めなければならない項目は以下のとおりです。

    • 財産分与の分け方
    • 親権
    • 養育費の金額、支払い期間、支払い方法
    • 面会交流の有無、頻度、方法
    • 慰謝料の金額、支払い方法
    • 年金分割


    また、証拠が重要になります。必ず事前準備の段階で証拠を集めておきましょう。

    ② 離婚協議
    準備が終わったら離婚を切り出します。話し合いで離婚する方法を「協議離婚」といいますが、3つある離婚方法の中で一番利用されている方法です。

    離婚協議で離婚に合意できれば離婚届を市町村役場に提出して離婚を成立させることができます。

    また、離婚協議で決まった内容は口約束にせず、必要に応じて「公正証書」にしておくことも重要です。「公正証書」は公文書で、全国にある公証役場で作成してもらうことができます。

    離婚条件の合意内容を公正証書にすると、「公正証書は証拠能力が高い」という特徴から、後に言った言わないの水掛け論になって約束を反故されるという可能性が低くなります。

    その際、強制執行認諾文言(金銭債務の支払いが滞ったら直ちに強制執行手続きを行うことに合意する文章)を公正証書に入れておくことで、月々の養育費の支払いが滞った場合、訴訟を経ずに預貯金や給料の差し押さえが可能となります

    トラブル防止のためにも、離婚協議がまとまった場合は必ず公正証書を作成するかどうか検討しましょう。

    ③ 離婚調停
    離婚協議がまとまらない場合、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てる必要があります。

    「離婚調停」は、調停委員と裁判官が仲介し離婚について話し合いを進めていく裁判手続きです。ここで合意できれば合意内容をまとめた調停調書が作成され、離婚が成立します(調停離婚)。調停調書であれば執行力を得ることができます。履行を怠った場合に裁判所から履行を促す「履行勧告」の手続きも利用可能です。

    調停委員からアドバイスや和解案を提示されることもありますが、必ずしもそれを受け入れる必要はありません。あくまでも話し合いによる解決が目的の手続きのため、納得できないアドバイスや和解案は拒否することができます。

    ④ 離婚訴訟
    離婚調停が決裂した場合、「離婚訴訟」を提起する必要があります。

    「離婚訴訟」は、当事者の主張・提出資料や証拠を元に裁判官が判断を下す手続きです。最終的には判決書が作成されます。

    なお、離婚訴訟は離婚調停より先に行うことはできません(調停前置主義)。原則として先に離婚調停を開いてからでないと離婚訴訟は起こせないということをご留意ください

  2. (2)離婚の切り出し方

    繰り返しになりますが、離婚は必ず事前準備を終えてから切り出しましょう。

    準備が整っていないと、相手の主張に押されて不利な条件で合意してしまうおそれがあります。

    また、切り出す際にはなるべく感情的にならないように冷静に切り出すことが重要なポイントです。感情的になると相手も感情的になり話し合いがうまく進まなくなる可能性が高くなります。

    自分で切り出すとどうしても感情的になってしまう、という方はぜひ弁護士に交渉の代理を依頼することもご検討ください

4、専業主婦で離婚を考えている方が、弁護士に相談するメリット

離婚を考えている専業主婦の方には弁護士への離婚相談がおすすめです。弁護士へ相談するとどのようなメリットがあるのか解説していきます。

  1. (1)的確なアドバイスを受けられる

    解説してきたように、離婚をするためには事前準備が必要です。弁護士に依頼すれば事前準備に関する的確なアドバイス(共有財産の把握の仕方や証拠収集のやり方など)を受けることができます

  2. (2)交渉を任せられる

    当事者同士で離婚の話し合いをすると感情的になり揉めやすい傾向にあるため、第三者として弁護士を挟むことがおすすめです

    弁護士に交渉を任せれば冷静に協議を進めることができるため、個人で行うよりも離婚協議の段階での解決が期待できます。

  3. (3)調停や訴訟手続きを任せられる

    協議が決裂して調停や訴訟になった場合、煩雑な裁判手続きから対応まで全て個人でやろうとすると精神的負担がかかるでしょう。

    弁護士に任せることで精神的負担が軽減し、また裁判での適切な主張・反論が期待できるため自分に有利な条件で離婚が成立する可能性も高まります

まずはお気軽に
お問い合わせください。
電話でのお問い合わせ
【通話無料】平日9:30~21:00/土日祝9:30~18:00
メールでのお問い合わせ
営業時間外はメールでお問い合わせください。

5、まとめ

経済的依存や離婚による子どもへの影響などを懸念して離婚を踏み出せない専業主婦の方は少なくありません。

しかし、離婚の際には財産分与や養育費といったお金や、児童手当や住宅手当といった公的機関の助成金を受け取ることもできえます。

離婚でもらえるお金の試算や証拠収集、離婚条件をまとめるといった事前準備をしておくことで、離婚条件で不利になる可能性が低くなります。

ただし、どんなに入念に準備をしていても相手が聞く耳を持たない場合や離婚理由が家庭内暴力の場合など相手に自分から切り出すことが怖い場合もあるでしょう。その際は弁護士へ依頼して交渉を任せることで、依頼者が顔を合わせず、円滑に話し合いを進められる可能性が高まります。

離婚についてお困りの方はぜひベリーベスト法律事務所 京都オフィスの弁護士にご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
この記事を監修した
京都オフィスサイトへ