夫婦の共有財産はどこまで? 財産分与の進め方と注意点
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令和3年4月に公表された法務省の離婚統計によると、10年以内に離婚を経験した30代〜60代の男女700名のうち、財産分与の取り決めをしたと答えた人は37.3%で、全体の半分にも満たない結果でした。
しかし、離婚した後の生活の安定を図るためにも、適切な財産分与は重要です。夫婦で築き上げた財産は公平に分配するのが望ましいです。
今回の記事では、財産分与の概要や流れ・注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 長野オフィスの弁護士が解説します。
出典:「財産分与を中心とした離婚に関する実態調査結果の概要」(法務省)
1、財産分与とは?
離婚時における「財産分与」とは、夫婦が結婚生活で築き上げた財産の清算や離婚後の生活の保障(扶養)、離婚による慰謝料といったものを請求する手続きです。
財産分与は離婚後の生活を安定させるためにも重要な手続きとなるため、しっかりと取り決めを行いましょう。
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(1)財産分与の分け方と期限
財産分与の分け方は原則として「2分の1ずつ」、期限は「離婚成立後2年以内」です。
割合が2分の1ずつとなるのは、婚姻中の財産は夫婦が共同で築いたものであり、同じだけ貢献していると考えられるためです。
ただし、必ず半分にしなければならないとは限りません。夫婦のどちらかの特別な努力によって資産形成した場合など、個別的な事情で分け方が変わる可能性もあります。
また、財産分与を請求する期限は、離婚が成立してから2年以内となっています。財産分与を取り決めずに離婚した場合は、請求できなくなってしまう前に元配偶者と話し合うようにしましょう。 -
(2)財産分与の種類
財産分与には、大きく分けて以下の3種類があります。
財産分与の種類 概要 清算的財産分与 婚姻中に夫婦が共同で築いた財産の分与 扶養的財産分与 離婚後に生活の困窮が想定される配偶者に対する財産の分与 慰謝料的財産分与 一方の配偶者の精神的苦痛を考慮して行われる財産の分与
これらの中でもっとも一般的な財産分与の種類は、「清算的財産分与」です。離婚時に財産分与を行う場合、清算的財産分与が採用されるケースがほとんどでしょう。
一方で、高齢・病気・長年の専業主婦(主夫)などの理由で離婚後の生活が困難な配偶者には、「扶養的財産分与」が行われる場合もあります。扶養的財産分与は配偶者の生活維持を目的としているため、一定額が定期的に支払われるのが一般的です。
また、不貞行為や暴力などの離婚原因があるケースでは、慰謝料の性質をもつ「慰謝料的財産分与」が行われる場合もあります。慰謝料的財産分与は精神的苦痛に対する損害の賠償とされるため、同様の性質である慰謝料との二重取りはできません。
2、どこまでが夫婦の共有財産?
夫婦が婚姻生活の中で築き上げた財産は、「共有財産」として離婚時に財産分与の対象となります。しかし、どこまでが共有財産として扱われるのでしょうか?
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(1)共有財産に含まれるもの
共有財産とは、夫婦が婚姻中に共同で蓄えたり取得したりした財産です。具体的には、以下のような財産が共有財産となります。
- 現金、預貯金
- 不動産(家や土地)
- 自動車
- 保険(生命保険や学資保険など)
- 有価証券(株式や国債など)
- 家具や家電製品などの生活必需品
- 退職金や年金
共有財産となるかどうかの判断に、夫婦どちらの名義であるかは影響しません。また、だまって購入した財産や隠していた財産に関しても、婚姻中に取得したものであれば基本的に共有財産の対象となります。
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(2)共有財産に含まれないもの
一方で、共有財産に含まれず、財産分与の対象とならない財産も存在します。共有財産に含まれない財産を、「特有財産」といいます。
特有財産と判断されるのは、以下のような財産です。- 婚姻前の財産
- 相続によって得た不動産
たとえば、婚姻前に購入したマンションや車、有価証券などの財産は、離婚時の財産分与の対象外です。ただし、「夫婦の収入でマンションのローンを返済した」などの事実があれば、財産分与の対象となる可能性があります。
また、相続によって得た不動産などの財産は、共有財産ではなく特有財産として扱われるのが一般的です。
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3、財産分与の流れ
財産の内容や分け方を明確にしておくことで、後々のトラブルを避け、公平な分配ができるようになります。以下では、財産分与の具体的な手順を確認していきましょう。
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(1)財産をリストアップする
離婚準備を進める際には、まず財産分与に向けて財産のリストアップを行います。
リストアップの対象となるのは、夫婦が婚姻中に共同で築いた「共有財産」です。保有している共有財産をすべて洗い出し、財産の根拠となる資料をまとめます。
普段あまり意識していない株式や保険など、リストから漏れがちな財産も忘れずに含めましょう。 -
(2)評価額を確認する
財産分与の対象となる共有財産をリストアップしたら、それぞれの財産の「評価額」を確認します。
とくに自動車や不動産などの財産は価値が変動するため、財産分与の前に評価額を調べておく必要があります。評価額は財産ごとに専門の業者に査定を依頼し、査定結果で確認するのが確実です。 -
(3)分与額を計算する
評価額の確認後は、分与額を計算します。分与額とは、財産分与の対象となる財産の総額です。
リストアップした共有財産の評価額を合計して、分与額がいくらになるかを算出しましょう。算出された分与額が、財産分与の話し合いの基準となります。 -
(4)夫婦間で話し合う
財産の確認や分与額の計算後は、それらの情報をもとに夫婦間で話し合います。
財産分与の分け方は、原則として2分の1ずつです。しかし、夫婦間で合意できればどのような配分でも問題ありません。
話し合いでは感情的にならず、お互いの意見を尊重しながら進めることが大切です。 -
(5)公正証書を作成する
夫婦間の話し合いで財産分与を取り決めたら、合意した内容で公正証書を作成しましょう。公正証書とは、公証人が作成して内容を証明する公文書です。
公正証書のメリットは、強制執行認諾文言を記載できる点です。強制執行認諾文言を記載しておけば、もし支払われなかった場合にも裁判手続きをせずに差し押さえなどの強制執行ができます。
作成は任意ですが、後々のトラブル防止のためにも作成しておくことをおすすめします。 -
(6)話し合いがまとまらない場合は調停・裁判
財産分与の話し合いがまとまらず、夫婦間で合意に至らなかった場合は調停や裁判を検討します。
調停は、家庭裁判所における話し合いで合意を目指す手続きです。対して裁判は、裁判所が当事者双方の主張や証拠を確認し、最終的な判決で解決を図る手続きです。
まずは調停を申し立て、不成立となった場合に裁判へ進行します。しかし、調停や裁判を行うには手間がかかり事前準備も必要となるため、弁護士へ相談することをおすすめします。
4、財産分与における注意点
財産分与においては、慎重に確認すべき重要なポイントがいくつかあります。財産分与の取り決めを行う前に、以下の注意点をしっかり理解しておきましょう。
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(1)財産の洗い出し・確認をしておく
財産分与をスムーズに進めるために、夫婦の共有財産は正確に洗い出し、確認をしておきましょう。
共有財産の対象は多岐にわたるため、漏れのないようにリストアップする必要があります。とくに退職金や生命保険金などの普段意識しない項目は見落としがちなため、注意が必要です。
財産調査に不安があったり調べ方がわからなかったりする場合は、弁護士への相談も検討してみてください。 -
(2)相手が財産を隠していないか確認する
財産分与を進める際は、相手が意図的に財産を隠している可能性についても確認が必要です。もし相手が隠し財産をもっていると、公平な分与が行えなくなります。
相手が財産を隠していると思われる場合には、まず証拠を集めることが重要です。
弁護士であれば、「弁護士会照会」という手続きを利用して金融機関や不動産登記などの情報を調査できます。財産隠しの疑いがあるにもかかわらず証拠が見つけられないときは、弁護士にご相談ください。 -
(3)財産分与には期限がある
財産分与の請求には期限があり、離婚成立から2年以内に手続きをしなければなりません。この期限を過ぎると請求権が失効し、財産を受け取れなくなってしまいます。
ただし、離婚後2年以内に協議や調停・裁判などで財産分与の請求が確定した場合、財産を受け取れる権利の時効は10年間となります。
すでに離婚が成立している場合は、速やかに財産分与を取り決めて請求することが重要です。
5、まとめ
財産分与の対象となるのは、婚姻中に夫婦が築いた現金や預貯金・不動産などの共有財産です。婚姻する前から貯めていた貯金や相続による不動産は共有財産に含まれません。
財産分与の範囲や手続きについて不安がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談すると、どの財産が共有財産となるかを正確に判断できます。また、適切な財産分与の算出や相手との交渉なども一任することができ、さまざまな負担を軽減することができます。
スムーズに財産分与の取り決めを進めたい、適切な金額の財産を請求したい、と考えている方は、ぜひベリーベスト法律事務所 長野オフィスの弁護士にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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