相続の遺留分はいくら? 計算方法と具体例を弁護士がわかりやすく解説

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相続の遺留分はいくら? 計算方法と具体例を弁護士がわかりやすく解説

相続をめぐった話し合いがまとまらず、家庭裁判所の手続きに進むケースは珍しくありません。令和6年の司法統計によると、大阪家庭裁判所における遺産分割事件の総数は1109件でした。

親が亡くなり、遺言書を開封したとき、「遺産の大半を特定の相続人に相続させる」といった旨が書かれている場合があります。このような場面で気になるのが、遺留分の存在です。遺留分は一定の相続人に保障された最低限の取り分であり、侵害されている場合は金銭で請求できる可能性があります。

本コラムでは、遺留分の基礎知識や計算方法・請求する際の注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 大阪オフィスの弁護士が解説します。

出典:「令和6年 司法統計年報(家事編)」(最高裁判所)


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1、遺留分とは|基礎知識

相続における遺留分とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。以下では、遺留分制度の概要と、誰が請求できるのかを解説していきます。

  1. (1)遺留分の概要

    遺留分とは、一部の相続人にのみ認められた最低限の遺産の取り分です

    遺言では、「誰にどの財産をどのくらい相続させるか」を指定できます。しかし、特定の人物に多くの財産を相続させようとすると、遺留分侵害にあたる可能性があります。

    遺留分を侵害された相続人は、「遺留分侵害額請求」によって不足分に相当する金銭の請求が可能です。

    なお、遺留分はすべての相続人に認められているわけではないため、自分の遺留分がどの程度あるのか理解しておく必要があります。

  2. (2)遺留分請求できる人、できない人

    遺留分を請求できるのは、「兄弟姉妹を除く法定相続人」です。具体的には、以下の範囲の相続人が遺留分の対象となります。

    • 配偶者
    • 子ども(子どもが死亡している場合は孫)
    • 父母や祖父母などの直系尊属


    法定相続人とは、民法で定められた遺産を相続できる権利をもつ親族です。法定相続人には兄弟姉妹(死亡している場合はその代襲相続人である甥姪)も含まれますが、兄弟姉妹は遺留分の対象になりません。

    また、相続放棄の手続きをした相続人や、相続欠格・相続廃除となった相続人も遺留分の対象外となります。

2、遺留分の計算方法と具体例

遺留分は、大きく2つのステップで計算できます。以下では、遺留分の計算方法と家族構成別の具体例を確認していきましょう。

  1. (1)遺留分算定の基礎となる財産を計算する

    まずは、遺留分を算定する際の基礎となる財産を計算します。基礎となる財産は、以下の財産の合計額です。

    • 相続開始時点で被相続人が保有していた相続財産(債務も含む)
    • 相続開始前の1年以内に第三者(相続人以外)へ贈与された財産
    • 相続開始前の10年以内に相続人へ贈与された財産(特別受益)


    計算式は、「相続開始時点で保有していた財産+1年以内の生前贈与+10年以内の特別受益-債務」となります

    第三者(相続人以外)への贈与の場合、相続開始前1年以内のものは基礎財産として計算しなければなりません。また、婚姻・養子縁組・生計の基本として贈与(特別受益)を受けた相続人がいる場合は、相続開始前10年以内であればその贈与額も遺留分の計算に含まれます。

    したがって、相続開始前の一定期間内に特別受益や生前贈与を受けた場合は、遺留分から差し引かれる可能性があるため注意が必要です
    なお、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をした場合には、第三者・相続人を問わず、上記期間外の贈与も対象となります。

  2. (2)法定相続分と遺留分の割合をかける

    基礎となる財産が算出できたら、その金額に遺留分と法定相続分をかけることで、個別の遺留分額が計算できます。被相続人の遺産のうち、遺留分全体を「総体的遺留分」、それぞれの相続人が受け取れる遺留分を「個別的遺留分」と呼びます。

    具体的な計算式は、「個別的遺留分=基礎となる財産×総体的遺留分×法定相続分」です

    総体的遺留分は、通常は遺産全体の「1/2」ですが、父母や祖父母などの直系尊属のみが相続人となる場合は「1/3」となります

    法定相続分は民法で定められた各相続人の遺産の取り分の目安で、誰が法定相続人になるかによって以下のように決められています。

    法定相続人 法定相続分
    配偶者と子ども 配偶者:1/2
    子ども:1/2
    配偶者と直系尊属 配偶者:2/3
    直系尊属:1/3
    配偶者と兄弟姉妹 配偶者:3/4
    兄弟姉妹:1/4

    なお、兄弟姉妹にも法定相続分は定められていますが、遺留分は対象外です。前提を間違えると計算が崩れてしまうため、戸籍で法定相続人を確定したうえで遺留分計算を行いましょう。

  3. (3)遺留分計算の具体例

    ここからは、遺留分計算の具体例を確認していきましょう。例として、遺産は8000万円・加算対象となる贈与は2000万円・債務は1000万円を前提にします。

    【基礎となる財産】
    8000+2000-1000=9000万円


    基礎財産が9000万円の場合の個別的遺留分の計算例は、以下のとおりです。

    ① 法定相続人が配偶者+子ども2人の場合
    • 配偶者:9000×1/2×1/2=2250万円
    • 子ども:9000×1/2×1/4=1125万円(1人あたり)


    配偶者の法定相続分は「1/2」、子ども全体の法定相続分は「1/2」です。子どもが複数人いる場合は遺産が等分されるため、1人あたりの法定相続分は1/4となります。

    ② 法定相続人が子どものみの場合
    • 子ども:9000×1/2=4500万円


    法定相続人が子どものみの場合、法定相続分は100%となるため、総体的遺留分のみを掛けて計算します。子どもが複数人いる場合は、人数で等分することになります。

    ③ 法定相続人が親(直系尊属)のみの場合
    • 親(直系尊属):9000×1/3=3000万円


    法定相続人が直系尊属のみの場合、法定相続分は100%となるため、総体的遺留分のみを掛けて計算します。

    直系尊属の総体的遺留分は「1/3」となるため、基礎財産が9000万円の場合の遺留分額は3000万円です。父母双方が健在の場合、3000万円を等分するため1人あたり1500万円となります。

3、遺留分侵害額請求と注意点

遺留分を侵害されたときの取り戻し請求を、「遺留分侵害額請求」といいます。以下では、遺留分侵害額請求の意味や進め方・時効について、注意点もあわせて解説します。

  1. (1)遺留分侵害額請求とは

    遺留分侵害額請求とは、遺留分を侵害された場合に、侵害された分に相当する金銭の支払いを求める請求です。令和元年7月の法改正によって、財産そのものを取り戻すのではなく、原則としてお金で調整する仕組みに変わりました。

    遺言や贈与などによって遺留分に相当する遺産を受け取れなかった場合は、「財産を多く受け取った人」に対して請求できます。

    話し合いでの解決が難しい場合は、調停や訴訟といった裁判手続きを利用して解決を図ることも可能です。

  2. (2)遺留分侵害額請求の方法

    遺留分侵害額請求は、基本的に以下のような流れで進めます。

    • ① 記録の残る内容証明郵便で請求する
    • ② 当事者間で話し合う
    • ③ 話し合いがまとまらない場合は調停で請求する
    • ④ 調停が不成立となった場合は訴訟で請求する


    まずは請求した事実を証拠として残すためにも、内容証明郵便で相手に遺留分侵害額を請求する意思を伝えましょう。内容証明郵便とは、送った日付や内容・差出人・宛先を郵便局が公的に証明してくれるサービスです。

    内容証明郵便を送付したあとは、相手方と直接話し合いを行います。話し合いがまとまらない場合や応じてくれない場合には、調停や訴訟による請求を検討します。

    調停・訴訟といった裁判手続きでは、客観的な証拠の収集や主張の整理が重要となるため、弁護士に相談することが望ましいです

  3. (3)遺留分侵害額請求の時効

    遺留分侵害額請求には、時効等期間制限がある点に注意が必要です。

    「相続開始と遺留分侵害を知ったときから1年」(時効)もしくは「相続開始から10年」(除斥期間)経過すると、請求できなくなるおそれがあります

    だからこそ、遺留分の侵害が発覚した際は、早めに行動することが重要です。期限内に請求できない可能性がある場合は、できるだけ早い段階で弁護士への相談を検討しましょう。

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4、遺留分や遺産相続のことは弁護士に相談を

遺留分や遺産相続のことで悩んだときは、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談するメリットは、以下のとおりです。

  1. (1)遺留分を正確に計算できる

    弁護士に相談することで、遺留分を正確に計算できます

    遺留分の計算式自体はシンプルですが、「そもそも遺産に入るのか」「評価はいくらか」といった前提で結果が大きく変わります。とくに不動産や株式があると、評価方法で請求額が大きく変わり、当事者間の対立が深まりやすいです。

    弁護士が関与すれば、財産や贈与についてどう評価するかが明確になり、トラブルのリスクを軽減できるでしょう。

  2. (2)相手方との交渉を代行できる

    弁護士は相手方との交渉を代行できるため、直接の交渉を避けられます

    遺留分の問題は請求する側と請求される側で意見が対立しやすく、話し合いが長期化するケースもあります。弁護士が代理人になることで、相続人間のやり取りが整理され、交渉を進めやすくなるでしょう。

    交渉時のストレスや負担を軽減できるのは、弁護士に相談・依頼する大きなメリットといえます。

  3. (3)裁判手続きも含めてサポートできる

    話し合いがまとまらない場合でも、弁護士に相談しておけば、調停・訴訟などの裁判手続きをサポートできます

    遺留分の問題は、当事者間で合意できれば解決できます。しかし、話し合いで解決できないケースでは、調停の申し立てや訴訟の提起を検討しなければなりません。

    早い段階から弁護士が関与していれば、資料の整理や主張の組み立てができているため、手続きがスムーズに進めやすくなります。また、現実的な回収の可能性まで踏まえた戦略を立てられる点もメリットです。

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5、まとめ

遺留分は、一定の法定相続人に保障された最低限の遺産の取り分です。不公平な贈与や遺贈が行われた際は、遺留分権利者として侵害額を請求できる可能性があります。

個人が請求できる遺留分額は、基礎となる財産に総体的遺留分と法定相続分をかけることで算出が可能です。しかし、実際の請求では、不動産の評価や生前贈与の範囲などで意見が対立するケースがあります。

遺留分侵害額請求には時効もあるため、「取り分が偏っている」と感じた時点で、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

遺留分の計算や請求方法でお悩みの方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 大阪オフィスの弁護士にご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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