余罪取り調べとは? 行われるケースや弁護士に相談すべき理由

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余罪取り調べとは? 行われるケースや弁護士に相談すべき理由

埼玉県警察本部が発表した「令和6年中の犯罪統計」によると、令和6年の特別法犯で検挙されうち、盗撮や痴漢などが該当しうる軽犯罪法違反は495件でした。なかには余罪が発覚して重い刑罰が科された事件もあるでしょう。

余罪とは、現在、逮捕や起訴されている事件(=本罪)以外で関与したとされる別の犯罪(=余罪)です。取り調べの原則として、取り調べが可能なのは本罪のみですが、例外もあります。

本コラムでは、ベリーベスト法律事務所 浦和オフィスの弁護士が余罪について解説します。


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1、余罪の取り調べとは?

そもそも余罪の取り調べとは、何なのでしょうか。余罪とは何か、余罪の取り調べが刑事手続きにおいてどのように扱われているのかを、さいたま市や浦和署のデータを紹介しながら解説します。

  1. (1)余罪とは?

    余罪とは、すでに捜査や起訴の対象となっている罪(本罪)とは別に、同じ人が犯したとされるほかの犯罪のことをいいます。

    警察や検察は、刑事手続きにおいてどの犯罪事実に対してどんな対処をするのかを特定しなければなりません。

    たとえば、逮捕される際、逮捕状が示されますが、逮捕状には被疑者の名前や、いつ・どこで・誰に対して・どんな犯罪行為をした疑いがあるかが書かれています。逮捕状に記載されていない犯罪行為は余罪となります。

    逮捕状に記載されていなかったからといって、余罪が捜査機関に知られていないとは限りません。逮捕しやすい犯罪事実で逮捕し、逮捕・勾留中に警察が認知している余罪について取り調べがなされる可能性もあります。

    令和6年のデータによると、さいたま市で認知された刑法犯の件数は9049件でした。前年よりも304件増えています。

    また、浦和警察署に限ったデータとしては令和5年の刑法犯認知件数は1979件で、こちらも前年より238件増加しています。

    【さいたま市全体の刑法犯認知件数】
    令和6年 令和5年
    さいたま市全体 9049件 8745件

    【浦和警察署の刑法犯認知件数】
    令和5年 令和4年
    さいたま市全体 1979件 1741件

    警察が認知する事件の件数は増えており、余罪も含めて犯罪事実について警察が把握している可能性を考慮した方がいいでしょう。

    出典:「さいたま市の犯罪情勢」(さいたま市)
    出典:「令和5年浦和警察署刑法犯認知件数」(埼玉県警察)

  2. (2)余罪の取り調べは、原則は行われない

    原則として、警察官が取り調べを行えるのは、逮捕状や勾留状に記載された特定の犯罪(本罪)に限られます

    これは、刑事事件の捜査が「事件単位の原則」に基づいて行われるためです。事件単位の原則とは、令状に記載された犯罪事実だけに身柄拘束の効力を限定することで、被疑者に「あなたはこの事実によって身柄拘束されています」と明確に知らせ、人権を保障しようとする仕組みです。

    そのため、余罪について令状もなく取調べを行えば、実質的に身柄拘束や捜査が拡大され、人権侵害になりかねません。こうした理由から、本罪と余罪を一緒に取り調べることは原則として禁止されています。

    しかし、これはあくまでも原則です。原則ということは例外もあります。

  3. (3)余罪の取り調べがされる例外

    例外として余罪の取り調べがなされるのは、基本的に、余罪を一緒に取り調べるほうが被疑者にとって都合がよい場合です。

    複数の余罪によって何度も逮捕と勾留をくり返すと、かえって被疑者の身柄拘束時間が長引きかねません。そのため、本罪と余罪に関連がある場合や、被疑者が自ら進んで余罪の取り調べに応じる場合などには、本罪と余罪を一緒に取り調べがなされることがあるのです。

    しかし、あくまでも本罪の取り調べが中心であり、捜査機関は、余罪を取り調べる目的のみで身体拘束を続けてはいけません。また、余罪を起訴するためだけに取り調べを行うこともできません。

2、余罪の取り調べが行われる3つのケース

余罪の取り調べが認められる代表的なケースとして次の3つが挙げられます。

  1. (1)同じ種類の刑罰に処すべき行為があった場合

    同じ種類の刑罰に処されるべき行為が複数あるときは、例外的に余罪の取調べが認められることがあります。

    たとえば窃盗罪や詐欺罪、不同意性交等罪、不同意わいせつ罪などは、同じ手口を繰り返す傾向が強い犯罪類型です。これを一つひとつ事件単位で捜査していたのでは効率が悪いため、余罪についてもあわせて取り調べが行われることがあります。

  2. (2)本罪と余罪の関係が密接な場合

    本罪と余罪が密接に関連している場合も、余罪の取調べが許されることがあります。

    たとえば建造物侵入罪で逮捕された人物が、その建物内で盗撮行為をしていたと発覚した場合です。このように事実関係が一体的といえる場合には、余罪も含めて調べることが合理的とされます。

  3. (3)被疑者が自ら余罪の取調べを希望する場合

    被疑者自身が余罪について取り調べを受けたいと希望するか自発的に余罪の話をするケースもあります。

    事件単位の原則を厳格に適用すると、余罪ごとに新たに逮捕・勾留が繰り返される可能性があり、それはかえって被疑者にとって不利益となり得ます。そのため、本人が希望する場合等には、例外的に余罪の取調べが認められるのです。

3、余罪が取り調べられるとどうなる?

余罪が取り調べられると、どうなるのでしょうか。捜査・量刑・起訴の可能性などについて解説します。

  1. (1)本罪と並行して余罪の捜査も行われる

    余罪が見込まれれば、余罪についての捜査も行われます。

    しかし、警察は本罪の逮捕や勾留によって始まった身柄拘束を、余罪の捜査のために続けることはできません。余罪捜査は、原則的には本罪の捜査のために余罪捜査を同時に行うかたちで実施されるのです。

    ただし、実務上は余罪にも力を入れて捜査がなされると考えてよいでしょう。

  2. (2)本罪の量刑が重たくなる可能性がある

    刑事裁判において、起訴されていない余罪そのものを直接処罰されることはありません。処罰の対象となるのは、あくまでも逮捕・起訴された本罪だけです。

    しかし、量刑を決める際には、本罪の構成事実に加えて、動機・結果・被告人の性格や経歴・生活状況など、幅広い事情(情状)が考慮されます。このとき、余罪は被告人の性格や犯行の計画性、反省の程度などを推し量るための資料となり得ます。そのため、余罪の存在が本罪の量刑に影響し、結果的に刑が重くなる場合があるのです。

    もっとも、起訴されていない余罪を処罰することは許されないという刑事裁判の大原則からすれば、余罪が情状事実として過度に評価されることは基本的にありません。したがって、余罪の存在によって本罪の量刑が大幅に加重されることは考えにくいといえます。

  3. (3)本罪と余罪の両方で起訴される可能性もある

    余罪を取り調べた結果、本罪とあわせて起訴されるケースもあります。

    本罪と余罪がいずれも確定裁判を経ておらず、それぞれ別個の犯罪として成立する場合には、原則として「併合罪」として処理されます。併合罪となった場合、複数の犯罪を踏まえて刑が定められるため、本罪だけで起訴された場合よりも重い刑が科される可能性があります。

    併合罪の場合、その中で最も重い罪の法定刑の長期を1.5倍した期間が法定刑の上限となります。ただし、その上限が、併合罪を構成するすべての罪の法定刑の長期を合計した期間を超えることは認められていません。

    なお、本罪と余罪が一つの行為によって成立する場合や、手段と目的の関係に立つ場合など、犯罪事実の関係によっては、併合罪とは異なる方法で処理されることもあります。

4、余罪取り調べを弁護士に相談すべき理由

余罪の取り調べが始まったときはもちろん、余罪がまだ知られていない場合であっても、取り調べ前には弁護士に相談するのが一番です。ここからは、弁護士に相談すべき理由を解説します。

  1. (1)取り調べの対応についてアドバイスやサポートが受けられる

    警察などによる取り調べに臨むには、弁護士のアドバイスを受けることが非常に重要です。なぜなら、伝え方によっては不必要に被疑者にとって不利な状況に陥ることもあるからです。

    罪を認めて素直に反省するのは重要ですが、不利に扱われないように必要最小限の処分にとどめることを目指しましょう。そのためには、どこまで話すかどのように受け答えするか、弁護士から法的なアドバイスを受けてから取り調べに応じることが大切です。

  2. (2)不当な余罪取り調べや身体拘束を回避できる

    なかには、不当な余罪取り調べをされたり違法な身体拘束されたりすることもあります。そんなときも、弁護士に依頼すれば適切なサポートを受けられます

    弁護士は不当な余罪取り調べや身体拘束を回避のために、次のような対処をします。

    • 検察官への意見書提出
    • 裁判所への意見書提出
    • 勾留理由開示請求
    • 勾留決定に対する準抗告
    • 勾留取消請求
    • 勾留執行停止の申し立て
  3. (3)余罪についても弁護活動をしてもらえる

    弁護士は、本罪だけでなく余罪についての弁護活動も行います。弁護活動には、次のようなものがあります。

    • 被害者との示談交渉
    • 証拠資料の収集
    • 証拠や証言の精査
    • 検察官との面会
    • 家族や職場への連絡
    • 身元引受人の確保
    • 裁判戦略の立案
    • 証人との打ち合わせ
    • 裁判における弁論要旨の作成
    など


    なお、弁護方針は余罪があるかないかによって大きく異なります。そのため、捜査機関に知られているかどうかにかかわらず、余罪があるなら弁護士には正直に話しましょう

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5、まとめ

余罪の取り調べは、対応を間違えると状況を悪化させてしまうおそれもあります。

もし「いつか余罪がバレるかもしれない」と不安を抱えているなら、一人で悩まず、まずは弁護士にご相談ください。

ベリーベスト法律事務所 浦和オフィスには、刑事事件の実績がある弁護士が在籍しています取り調べにどう対応すべきか、どのように起訴や重い量刑を回避すればよいかなど、あなたの状況に応じて適切なアドバイスとサポートをご提供します。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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