転職先の内定が取り消されたら失業保険はどうなる?

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転職先の内定が取り消されたら失業保険はどうなる?

大阪労働局の公表している「令和6年度紛争解決制度の施行状況等の公表」によると、令和6年度に大阪府に設置している総合労働相談コーナーで受け付けた総合労働相談件数は、149万968件でした。

また、民事上の個別労働関係紛争相談件数は2万8146件と直帰5年間で最多となり、この内「採用内定取り消し」に関する相談件数は226件ありました。

内定が決まった場合の失業保険の受給、内定取り消しの違法性、対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスの弁護士が解説していきます。

出典:「「令和6年度紛争解決制度の施行状況」等の公表」(大阪労働局)


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1、内定が決まっても失業保険は受け取れる?

失業保険の受給中に内定が決まっても、失業保険が直ちに打ち切られる、というわけではありません

そもそも失業保険とはどういうものなのか、いつまで失業保険を受給できるのか、以下に詳しく解説していきます。

  1. (1)失業保険とは?

    実は、失業保険というのは正式名称ではありません。「雇用保険の失業等給付」のことを、通称「失業保険」と呼んでいます。

    「雇用保険」とは、失業した場合や雇用の継続が困難になる事由が生じた場合に、生活・雇用の安定を図ると共に、再就職を促進することを目的とした制度です。一定の要件を満たした場合に失業保険を受けられる仕組みになっています。

    失業保険を受けるためには、「原則として離職日以前に雇用保険の被保険者であった期間が2年間に通算12か月以上ある」という条件を満たすことが必要です。

    ただし、以下の場合は、離職日以前に雇用保険の被保険者であった期間が1年間で通算6か月以上あれば、失業保険を受給することができます

    • 離職理由が倒産や解雇の場合
    • 期間の定めがある労働契約が更新されたかった場合
    • やむを得ない理由で離職した場合


    また、失業保険の給付は、雇用の予約や就職の内定・決定がされていない失業状態にある方のみに給付されますが、「失業状態」というのは単に働いていない状態を指すわけではありません。

    以下の状態を「失業状態」といいます。

    • 積極的に就職する気がある
    • いつでも就職できる健康状態や環境である
    • 積極的に仕事を探しているが就職できていない


    したがって、たとえば妊娠や出産、けが、病気のためすぐに就職できない方や、就職するつもりがない方は失業状態にはないため、失業保険は給付されません。

    ちなみに、重責解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇)の場合、失業保険給付に必要な被保険者期間が長くなる上、給付日数も少なくなってしまいます。

  2. (2)失業保険の受給期間

    失業保険の受給期間は、雇用保険の被保険者であった期間や年齢、離職理由によって「90日から360日」と異なります。再就職が決定するまでの期間は、ケースに応じた失業保険の受給期間を限度に、失業保険を受給しながら就職活動をして再就職先を探すことが可能です。

    再就職先が決まったらハローワークに速やかに報告をする必要がありますが、その時点で直ちに失業保険が受給できなくなるわけではありません。失業保険は「再就職日の前日」まで受給することができます。したがって、失業保険の受給中に内定が決まったからといって、失業保険を打ち切られるわけではないのです。

    なお、再就職が決まった場合に条件を満たせば「再就職手当」を受け取ることができます。再就職手当とは、失業保険受給者が早期に再就職が決まった場合に受け取ることができる手当です。

    ちなみに、再就職が決まっていないにもかかわらず、失業保険が受給できなくなってしまう場合がありますアルバイトなどで「1週間の労働時間が20時間を超えるケース」や、「31日以上の雇用契約を結んだケース」です

    たとえ再就職が決まるまでのアルバイトであったとしても、これらのケースに該当する場合は再就職したとみなされてしまい、失業保険の受給資格がなくなるおそれがあるため、労働時間や雇用契約の内容にご注意ください。

2、失業保険の受給中に転職先の内定が取り消されたらどうすればいい?

失業保険の受給中に転職先の内定が取り消されてしまった場合の対処法をご紹介します。

  1. (1)速やかにハローワークに連絡して失業保険の受給を再開してもらう

    内定を取り消されてしまった場合、まずは速やかにハローワークに連絡して、失業保険の受給を再開してもらいましょう

  2. (2)内定取り消しの証明書等を取得・提出する

    ハローワークで失業保険の受給再開手続きをする際には、内定取り消しの証明書等を取得・提出する必要があります。

    内定取り消しの証明書は、企業に請求すれば交付してもらうことが可能です。

3、企業による内定の取り消しは違法?

企業による内定取り消しは、違法になる場合もあります。内定と内定取り消しの法的性質、内定取り消しが認められる要件等についてみていきましょう。

  1. (1)内定と内定取り消しの法的性質

    「内定」は、原則として企業からの採用内定通知により成立しますが、これは単なる入社の予約ではなく、労働契約の成立と同等の効力がある、とみなされています。

    つまり、内定通知が出された段階で労働契約が成立しているということです。労働契約がすでに成立している以上、内定者は「労働者」として労働関係法規の保護を受けることができます。

    労働者が企業から一方的に労働契約を終了させられることを「解雇」といいますが、内定者が「労働者」とみなされることから、内定取り消しは法的に解雇と同様の性質を持っています。つまり、解雇が成立する要件と同様の要件を満たさなければ、内定取り消しは法的に認められないということです。

  2. (2)内定取り消しが認められる要件

    内定取り消しが認められるのは、解雇の場合と同様に「正当な理由がある場合」に限られます

    内定取り消しが認められる正当な理由は、以下のとおりです。

    • 採用の際に労働者が重大な虚偽申告をした
    • 逮捕歴などの重大な経歴詐称が発覚した
    • 業務に必要な資格や免許を取得できなかった
    • 内定後に犯罪を起こして逮捕された
    • 内定後に就労困難なけがや病気、障害を負った
    • 企業の経営状況が著しく悪化した
    など


    労働者の虚偽申告が重大とはいえない軽微なものであった場合や、労働者側の問題が内定時に明らかであった場合、企業の経営状況が人を雇えないほどではない場合などにおける内定取り消しは、違法になる可能性が高いでしょう。

4、内定取り消しに納得できない場合は、弁護士に相談すべき

企業からの内定取り消しに納得できない場合は弁護士に相談することをおすすめします。

先ほど解説したように、正当な理由のない内定取り消しは違法です。ただし、自分のケースが違法なケースに該当するのかどうか、個人では判断が難しい場合があります。弁護士に相談すれば、自分のケースが違法かどうか判断してもらった上で、対処していくことが可能です。

内定取り消しが違法な場合、内定取り消しについて会社にその撤回を求めたり損害賠償を請求したりといった対応をしていくことになりますが、内定を取り消した会社と自分だけで交渉を行うのは精神的にも大きな負担がかかることでしょう。

弁護士に依頼をすれば、会社との交渉を代行してもらうことができるため、精神的負担の軽減や、希望する結果につながる可能性が高まります。

また、交渉がまとまらない場合は労働審判・労働訴訟といった法的手続きで争う必要がありますが、弁護士に依頼すれば煩雑な裁判手続きも一任することも可能です。

突然の内定取り消しにあってお困りの方や、失業保険の受給に関してご不明な方はぜひ弁護士への相談をご検討ください

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5、まとめ

失業保険は、雇用保険の失業等給付のことを指しています。失業状態にある方はケースに応じて失業給付を受け取ることができ、内定が出た場合であっても再就職日の前日までは受給することが可能です。

転職先から内定を取り消された場合でも、それが違法なケースに該当すれば無効になる可能性があります。また、場合によっては会社に対して損害賠償請求できるでしょう。

ただし、自分のケースが違法なのかどうかは判断が難しい場合もあるため弁護士への相談をおすすめします。

内定取り消しにお困りの方や失業保険給付にご不明点がある方、労働問題に関するトラブルはぜひベリーベスト法律事務所 天王寺オフィスの弁護士にご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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