辞めるように仕向けられたときの対処法│退職勧奨は拒否できる

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辞めるように仕向けられたときの対処法│退職勧奨は拒否できる

福岡県の公表している「令和7年度労働相談の状況について」によると、令和7年に労働相談を受け付けた件数は7458件でした。

相談内容別にみると、「解雇・退職勧奨」に関する相談件数が748件と、退職や解雇に関する相談が多く寄せられています。解雇のなかには、直接告げられなくても、自ら辞めるように会社に仕向けられるケースもあります。

ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士が解説しきます。


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1、辞めるように仕向けられるとは、どんな行為?

上司が直接的に退職を勧めるのではなく、辞めるように仕向けられる「退職勧奨」をされるケースは決して少なくありません。

人事異動・嫌がらせ・外部機関との共謀など、辞めるように仕向けるためのよくある手口をご紹介します。

  1. (1)そもそも退職勧奨とは何?

    「退職勧奨」とは、会社が労働者に対して退職を勧める行為です。

    会社が一方的に労働契約を解除する「解雇」とは異なり、退職勧奨はあくまでも従業員に自主的に退職するように勧めるものであるため、強制力はありません。

  2. (2)退職勧奨とパワハラ・追い出し部屋

    退職勧奨自体には違法性はありませんが、パワハラ行為や追い出し部屋(会社が労働者を退職させるために用意した部署)への異動のように、違法な行為によって労働者に退職するように促してくる、というケースもあります。

    たとえば以下のような言動です。

    • 急にノルマを増やして残業させる
    • 暴言を吐く
    • プロジェクトから外す
    • 仕事を全く与えない
    • 会社にとって無意味な義務にあたらせる
    • 社内イベントに参加させない
    など


    退職させるためのパワハラや追い出し部屋への人事異動は「退職強要」に該当し、違法になる可能性があります。このような悪質な退職勧奨には損害賠償を請求することが可能です。なお、このようなパワハラ等による退職は「追い込み退職」と呼ばれています。

    また、退職勧奨のなかには、パワハラや追い出し部屋以外にも外部機関を使って退職を促すような悪質なケースも存在します。たとえば、産業医の診断内容をたてに労働者を休業に追い込んだり、精神疾患という扱いにすることで解雇理由にしようとしたりといったケースです。ただし、このようなケースは違法行為に該当する可能性があるため、極めてまれでしょう。

2、退職勧奨に応じるメリットとリスク

退職勧奨に応じることで得られるメリットと生じるリスクについて解説していきます。

  1. (1)退職勧奨に応じるメリット

    退職勧奨に応じることで得られるメリットは以下のとおりです。



    詳しくみていきましょう。

    ① 解決金(上乗せ退職金)がもらえる場合がある
    退職勧奨に応じると、条件によっては退職金に上乗せした形で「解決金」をもらえる場合があります。
    解決金はトラブル解決のために支払われる金銭で、ケース・バイ・ケースではありますが、給与の約3か月〜6か月分が相場です。

    ② 会社都合退職により失業手当を早く受給できる場合がある
    退職勧奨に応じて退職すると、自己都合退職(労働者側の理由による退職)ではなく会社都合退職(会社側の理由による退職)になる場合があります。
    基本的には、会社都合退職の場合、自己都合退職よりも受給待機期間が短いため、早く失業手当を受給することができます。

    ③ 不必要なトラブルを避けられる
    退職勧奨に応じることで、その後の不必要なトラブルを避けられるというメリットもあります。というのも、退職勧奨を拒否すると、繰り返し退職を迫られたり、報復的な扱いを受けるケースがあるからです(次章で詳しく解説します)。

  2. (2)退職勧奨に応じるリスク

    退職勧奨に応じると得られるメリットがある一方で、安易に応じることで生じるリスクもあります。



    ① 失業給付が条件によっては遅く支給される
    先ほど解説したように、退職勧奨に応じて退職すると自己都合退職ではなく会社都合退職として扱われる場合があります。
    しかし、退職勧奨に応じた際に退職届を提出してしまうと自己都合退職として扱われ、失業手当の給付が遅くなってしまう場合があります。
    そのため、退職勧奨に応じる場合の対応には注意が必要です。

    ② 再就職への影響がある
    退職勧奨に応じると、再就職に影響がある場合があります。
    就職活動時に退職理由を「退職勧奨」と答えることで、「問題社員だったのではないか?」と疑われてしまうおそれもあります。
    会社の業績不振だった場合はしっかりその旨を説明し、もし個人のパフォーマンスに問題があったものであれば改善の努力や、ポジティブな学び、成長をアピールしましょう。

3、退職を拒否して会社に残れる?

退職勧奨を受けた場合、退職を拒否して会社に残ることは可能ですが、その場合はいくつか注意点があります。

詳しくみていきましょう。

  1. (1)退職勧奨は拒否できる

    退職勧奨はあくまでも「提案」です。解説してきたとおり強制ではないため、応じる義務はありません。したがって、退職勧奨をされても退職したくない場合は、それを拒否して会社に残ることが可能です。

  2. (2)会社に残った場合の注意点

    退職勧奨には応じる義務がないため、拒否をすれば会社に残ることができます。ただし、会社に残ることを選択した場合には、報復的な扱いや配置転換などをされる可能性があるでしょう。

    報復的な扱いや配置転換は違法な退職勧奨に該当します。会社と争う場合には、以下のような証拠を残しておくことが重要です。

    【退職勧奨で残しておくべき証拠】
    • 人事担当や上司とのやりとりの記録(メールや録音など)
    • 報復行為に対する同僚の証言
    • 報復的な扱いや配置転換を理由にうつ病になった場合の診断書
    など


    これらの証拠は会社との交渉時だけでなく、労働審判や訴訟時にも役立ちます。有効な証拠収集については、弁護士にアドバイスを求めるのが得策です。

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4、退職を促されていると感じた場合の対応は?

退職勧奨を受けている場合の対処法をご紹介します。

  1. (1)上司の言動を記録する

    上司から退職を促される言動をされた場合、ボイスレコーダーやメール、日記などで記録しておきましょう。相手から「そんな言動はしていない」と言われた際の証拠になります。

    特に、裁判になった場合は証拠が重要になるため、上司の言動は記録に残しておくことが重要です。

  2. (2)社内の相談窓口や人事への相談

    退職勧奨を受けて社内での相談を希望する場合は、社内の相談窓口や人事へ相談しましょう。たとえば、ハラスメント相談窓口やコンプライアンスホットラインなどが設けられている会社もあります。人事担当者に直接事情を説明して、自分の状況を整理するだけでも心の負担を軽くできます。相談時に相談表などの控え(コピー)を受け取っておくことで、将来裁判になった際にも「相談した事実」を立証する証拠として役立ちます。

    一方で、社内での相談を希望しない場合は社外相談窓口への相談がおすすめです。

  3. (3)労働組合や弁護士の活用

    退職勧奨を受けた場合、社外相談窓口である「労働組合」や「弁護士」の活用もご検討ください。

    労働組合は労働者を守る取り組みをしており、相談をすると団体交渉(労働条件や勤務環境についての会社との交渉)や争議行動(ストライキなど)といった対応をしてもらうことができます。しかし、団体交渉や争議行動で解決できない場合は裁判を検討する必要があるでしょう。

    裁判を検討する場合や精神的につらい場合、違法性を感じる場合は、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士であれば会社との交渉はもちろん、裁判の手続き対応を任せることが可能です。また、未払い賃金の請求や、悪質な退職勧奨(退職強要)には損害賠償として慰謝料を請求することができるため、その対応を任せることもできます。

    なお、業者に依頼する退職代行サービスには非弁行為(弁護士ではない者による弁護士法に違反する行為)が含まれている可能性もあるため、違法を回避するためにも弁護士の退職代行サービスをご検討ください。

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5、まとめ

退職を促すような行為があっても、安易に退職せず冷静に判断することが重要です。退職に応じるか残るかの判断に迷った場合には、弁護士に相談することで最適な選択ができ、未払い賃金や損害賠償の請求なども可能になります。

判断に迷った場合や退職勧奨にお困りの方は、ぜひベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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